バズ分析
家の中を見せないまま70万人を集めた。Jumoがやった「好奇心の設計」
SNSでバズるアカウントは多い。ただ、Jumoがうまかったのは、単に再生を取ったことではない。「気になる」という感情をフォローに変え、そのフォローをブランドの入口に変えたことにある。
使っていたのは、一時期流行った「1フォロワーごとに1回何かをする」というフォーマット。Jumoはそれを、「1フォロワー増えるごとに、遠くの家に一歩ずつ近づく」という企画に置き換えた。
しかも実写ではなく、AIやイラストを活用したアニメーテッドコンテンツで展開していた。この形式だったからこそ、ただ近づくだけではなく、途中で災害が起きたり、犬の相棒が現れたり、モンスターに遭遇したりと、物語をいくらでも広げられた。
売りは「家の中がわからない」という一点
この企画の強さは、まず何よりもここにある。家の中身がわからない。だから気になる。
構造としてはとてもシンプルだが、SNSではこのシンプルさが強い。少しずつ近づいていくのに、肝心の答えはなかなか見せない。その状態を維持することで、視聴者の頭の中にはずっとひとつの問いが残る。
- あの家の中には何があるのか
- いつ辿り着くのか
- 辿り着いたら何が明かされるのか
この「あと少しでわかりそう」という状態が、続きを見たい理由になる。Jumoは、映像の派手さより先に、好奇心の置き方で勝っていた。
フォローが「応援」ではなく「進行条件」になっていた
この企画をさらに強くしていたのが、フォローの使い方だ。
普通、フォローは受け身の行動だ。「今後も見たいからフォローする」で終わる。でもJumoでは違う。フォロワーが増えるほど、主人公が家に近づいていく。
つまりフォローが、ただの応援ではなく、物語を前に進めるためのアクションになっていた。
ここがかなりうまい。
- 見るだけで終わらない
- 自分の行動が企画に関わる
- フォローする理由がコンテンツ内にある
SNSで伸びる企画は多いが、フォローという行動自体にここまで意味を持たせられているものは意外と少ない。Jumoは、視聴者を観客のままにせず、参加者に変えていた。
アニメーションだったから、企画に限界がなかった
この企画は、実写でやるとかなり制約が多い。毎日進んでいく距離にも限界があるし、途中で起きる出来事にも物理的な制限が出る。
一方で、Jumoはアニメーション表現を使っていた。その結果、企画自体がかなり自由になっている。
- 距離をいくらでも伸ばせる
- 世界観を途中で変えられる
- ハプニングを自然に差し込める
- 更新を続けても構造が破綻しにくい
これは単なる「見た目の違い」ではない。フォロワー数に合わせて企画を無限に拡張できる構造を、表現手法そのものが支えていたということだ。
最後にブランドへつなげる
このアカウントがさらに優れていたのは、最初からブランドを押し出していなかった点にある。
最初に見えるのは、ただ「遠くの家が気になる」というコンテンツだけだ。何のブランドなのか、何を売りたいのか、最初の段階ではほとんど見えない。だからPR感が薄い。視聴者は純粋に続きが気になって追いかけられる。
そして終盤で、その流れがJumoというブランドにつながっていく。しかも、ただ正体を明かすのではなく、ここまで追わせた原動力が「好奇心」だったこと自体を回収している。
ブランドを説明するのではなく、視聴体験そのものをブランドメッセージに変えている。単なる宣伝投稿ではなく、19日間のコンテンツ全体がブランドの前振りとして機能していた。
Jumoがやったことを整理するとこうなる
この事例を分解すると、強さはかなり明確だ。
- トレンド化していたフォーマットを使った
- そのフォーマットを自分たちの企画に合わせて再設計した
- 「家の中がわからない」という強い問いを置いた
- フォローに参加の意味を持たせた
- アニメーション表現で企画の制約を消した
- 最後にブランドコンセプトへ自然につなげた
つまりJumoは、流行に乗っただけではない。流行の器を借りて、自分たちのブランドに合う物語へ変換したということだ。
まとめ
Jumoがバズった理由は、AIコンテンツだったからでも、アニメーションだったからでもない。核にあったのは、「見せないことで気にさせる」設計だった。
さらにその好奇心を、ただの視聴維持で終わらせず、
- フォローにつなげる
- 参加感につなげる
- ブランド接点につなげる
という形で段階的に広げていったのが強かった。
SNSでは、何を見せるかばかりが語られやすい。ただ実際に伸びるのは、何を隠すか、どう気にさせるか、どう参加させるかまで設計されているアカウントだ。
Jumoはその好例だった。トレンドを使いながらPR感を消し、コンテンツとして夢中にさせた上で、ブランドへ接続する。バズで終わらず、ブランドの入口まで作れている点で、かなり完成度の高い事例になっている。